今まで、北朝鮮軍統制機構の1つである保衛局に対して、調べてみた。保衛局の性格と意味に対して、次のような数種類の評価を下すことができる。
第1に、北朝鮮軍保衛局は、60年代末から漸次独立化し、専門化された。最初に民間監視機構である国家安全保衛部の一部で構成されたが、漸次国家安全保衛部から分離され、組織上も現在では、全く独立的な機構として運用されている。そして、保衛局の専門一群の教育と養成も民間のものから独立し、保衛専門軍官の専門性も漸進的に確保されているものと把握される。結局、北朝鮮軍を監視、統制する1つの独立した機関として落ち着いているようである。
第2に、保衛局の秘密活動の様態は、北朝鮮軍内の政治的意志表出と交換を事前に根本的に封鎖する効果を持っているものと見られる。保衛局は、保衛軍官と秘密情報員を活用し、内部的な監視を施行しているために、総政治局のような他の監視機構が把握できない内部的な情報を把握できるものと見られる。
第3に、保衛局は、総政治局と機能上の分業と協調体制を取っているものと見られる。総政治局は、政治軍官と党一群等を通して、公開的で公式的な統制を担当しており、保衛局は、内部的で秘密情報的な側面から監視と統制を担当している。総政治局が把握できない北朝鮮軍内士兵、軍官及び将領の私的な行動をこの保衛局が捕捉した場合、保衛局は、この情報を勿論、自主的に捜査することもあるが、事案の性格によっては、総政治局に移管し、公式的党組織を通して、軍人の行動を統制する方法を選択することもある。
勿論、このような協調体制がどの程度効率的に運用されているのかは判断するのが難しい。むしろ反対に、保衛局機関と総政治局機関が互いに反目する場合があるかもしれない。しかし、2つの機関が反目する場合にも、2つの機関の最終的な目標である北朝鮮軍の監視機能は、結果的にさらに効率的に行われるのかもしれない。2つの監視機関が互いに競争的に活動すれば、結局、北朝鮮軍内部の政治的活動は、さらに萎縮されるためである。従って、総政治局とどのような関係を維持しても、保衛局は、北朝鮮軍の政治的活動に対する監視機能を大きく強化しているものと判断される。
この文の始めに、将来北朝鮮が政治的にどのような形態を見せるのか、又は果たしてそのような北朝鮮軍自体の能力があるのか、又は北朝鮮軍の政治的位相にどのような変化が生じるのかに対する疑問を提起してみた。このような疑問に対する解答を考えるとき、我々が必ず考慮しなければならない1つの事項は、金日成−金正日指導部が長年に渡り構築してきた北朝鮮軍監視体制がどのように運用されたのかに対する考察である。
この文で見てみたところによれば、北朝鮮軍監視体制の1つである北朝鮮軍保衛局組織は、相当な独立性と専門性を持っているものと判断され、特に、保衛局の秘密情報網の運営は、北朝鮮軍の政治的意思形成と疎通に決定的な傷害要因として作用するものと見られる。従って、将来、北朝鮮軍研究において、この保衛局の活動に対するより深層な研究も並行しなければならない。
最終更新日:2003/05/01
無料ホームページ 楽天モバイル[UNLIMITが今なら1円] 海外格安航空券 海外旅行保険が無料!